前回は、超高効率スイッチングレギュレータ「S-85M0A/ S-85M1A」を、その3つの特長にフォーカスして紹介した。パッケージにWLPを採用することで、小型化、薄型化と同時に、LPWANやGPSで使用する中~高周波数帯での低EMI(Electro-Magnetic Interference、電磁妨害)、つまりノイズ低減も実現。従来製品から提供する業界トップクラスの低消費電流、高効率性も継承し、図1のように、ウェアラブルやIoT製品に不可欠なこれら3要素をバランスよく併せ持った製品となっている。
この魅力的な電源ICを今後様々な業界で本格化していくIoT機器開発の現場にいち早く届けるには、どうしたらよいだろうか。
小型、薄型であることは、文字通り実際に身に着けるウェアラブル製品や補聴器などのヘルスケア機器などに有利な条件となる。低EMI、特に1GHz~2GHz付近でのノイズを低減したことで、Sub-GHz帯や1GHz以上の周波数帯を使用するスマートメータやGPS搭載機器などへの活用が大いに期待できる。もちろん、低消費電流を実現し、軽負荷動作時にも高効率な処理が可能であることは、バッテリーの長時間駆動が必要なウェアラブル、IoTの分野では不可欠となる。
ただし、こうしたシステムは、当然ながら電源ICだけでは動作しない。図2のようにコントローラとなるマイコンやメモリ、通信処理を行うICなどが必要となる。
では、どのようなマイコンや通信チップとタッグを組むべきか。
「S-85M0A/ S-85M1A」の特長を生かすには、小型で省電力なマイコンや、1~2GHz付近の周波数帯で動作する通信規格に準ずる通信チップなどとの併用が望ましい。マイコンや通信チップ側の視点から見ても、低消費電流かつ高効率で、ノイズも低減しながら安定した電源を供給する小型電源ICがあれば、自身の電気的特性、通信特性を最大限に生かすことができる。
図3のように、こうした組み合わせをボードに組み込んだ形で提供すれば、顧客に評価ボードとして評価いただき、問題がなければ、図4のように最終製品に搭載してもらうことも可能となる。
顧客は新たに「S-85M0A/ S-85M1A」と組み合わせるマイコンや通信ICを探す手間もなくなり、エイブリックとしても「S-85M0A/ S-85M1A」の性能を最大限に生かす組み合わせを顧客に提供することができるのだ。
手軽に製品に組み込める「S-85M0A/ S-85M1A」搭載ボードが今後、各種用意され、簡単に手に入るようになれば、あらゆるものにエイブリックの電源ICが搭載される時代の幕開けになるかもしれない。