スイッチングレギュレータとは
1. 基本的な役割
2. スイッチングレギュレータの種類
スイッチングレギュレータは、レギュレータ(安定化電源)の一つであり、以下のように分類することができます。
レギュレータ (安定化電源) |
スイッチング レギュレータ (DC-DCコンバータ) |
絶縁型 | ||
非絶縁型 | ||||
リニア レギュレータ |
シャント レギュレータ |
|||
LDOレギュレータ | ||||
この記事では、「非絶縁型スイッチングレギュレータ」の特徴・動作について詳しく説明します。
非絶縁型スイッチングレギュレータには、さらに以下のような方式・動作モードがあります。
電圧変換方式 | 降圧、昇圧、昇降圧、反転 |
---|---|
整流方式 | 非同期、同期 |
動作モード | PFM、PWM、PFM/PWM切り替え |
用語をクリックすると、詳しい解説にジャンプします。
3. スイッチングレギュレータの特徴
ここからは、スイッチングレギュレータ(非絶縁型)の特徴を紹介します。
高効率
スイッチングレギュレータは、スイッチ素子をON/OFFさせることで必要な電力を必要な分だけ伝達するため、電力を高効率に変換することができます。
同じレギュレータ(安定化電源)であるリニアレギュレータの場合、電圧を変換する過程でVINとVOUTの電圧変化の余剰分を熱として発散させるため、スイッチングレギュレータと比較すると効率はどうしても低くなってしまいます。
スイッチングレギュレータが高効率に電圧を変換できる理由を、リニアレギュレータと比較しながら詳しく見ていきましょう。
例えば、入力電圧VINが5.0V、出力電圧VOUTが2.5V、負荷電流IOUTが0.1Aの場合、
リニアレギュレータでは
入力電力=入力電圧 × 負荷電流
=5.0V × 0.1A
=0.5W
出力電力=出力電圧 × 負荷電流
=2.5V × 0.1A
=0.25W
効率 = 出力電力 ÷ 入力電力 で表されるため、リニアレギュレータの効率は50%となります。
一方で、スイッチングレギュレータの場合は、スイッチ素子をON/OFFさせVOUTが2.5Vになるように入力電圧を供給する期間を制御します。 このとき、入力電圧を供給する期間は
VOUT VIN = 2.5V 5.0V = 1 2
から、1周期の半分の期間になります。 同じように入力電力、出力電力から効率を求めると、以下のようになります。
入力電力=入力電圧 × 負荷電流 × 1 2
=5.0V × 0.1A × 1 2
=0.25W
出力電力=出力電圧 × 負荷電流
=2.5V × 0.1A
=0.25W
上記より、効率 = 出力電力 ÷ 入力電力 を求めると100%となります。これが、スイッチングレギュレータが高効率を実現できる理由です。
※実際には様々な損失が生じるため、効率は90%程度となります。
ノイズ
スイッチングレギュレータは、スイッチ素子のON/OFF動作により、急峻な電圧、電流の変化と寄生成分によりリンギングが生じ、出力電圧にはノイズが含まれてしまいます。
ノイズを低減するには、外付けコンデンサ・コイルの配置や配線を最適化するなど、適切な基板レイアウトを行うことが有効です。ノイズ(リンギング)発生のメカニズムとノイズ対策の詳細については、アプリケーションノート「降圧型スイッチングレギュレータのノイズ対策」をご参照ください。
スイッチングレギュレータとリニアレギュレータの特徴の比較
スイッチングレギュレータ | リニアレギュレータ | |
出力電圧変換方式 | 降圧・昇圧・昇降圧・反転 | 降圧のみ |
効率 | 高い(発熱が小さい) | 比較的低い(発熱が大きい) 入出力電圧差が大きいと低い |
出力電流 | 大きい (効率が高いため大電流を流せる) |
小さい |
ノイズ | 大きい | 小さい |
出力リップル | あり | なし |
必要な外付け部品 | 多い Cin, Cout, L, (SBD) |
少ない Cin, Cout |
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