コア有電流センサモジュールの高速応答化、高精度化に最適、汎用インバータの 効率向上に貢献
ミネベアミツミグループのエイブリック株式会社(社長:田中 誠司、本社:東京都港区、以下:ABLIC)は本日より、民生・産業機器用リニアホールIC「S-5611A」の販売を開始しました。
再生可能エネルギー活用の観点から太陽光発電や風力発電といった自然エネルギーの活用が進んでいますが、これらのエネルギー効率の向上を図ることが環境負荷への低減につながるものとして注目が高まっています。こうした自然エネルギーを活用する太陽光発電等のシステム、ならびに、産業用工作機械などのシステムでは電流センサを搭載した汎用インバータ(※1)が広く使われています。汎用インバータの効率向上には、搭載されている電流センサの応答の高速化や高精度化することが重要な要素となります。
本日発売した新製品「S-5611A」は、プログラマブルの高精度リニアホールICで、業界最速クラスの高速応答1.25μs(※2)と業界トップクラスの低ノイズ性能0.09μT/√Hz(※3)を実現しているため、微小な電流変動も正確に測定可能となりインバータ制御性能の向上に貢献します。
また、周波数帯域選択機能(※4)を搭載していることから、1つのICの中で400kHz、200kHz、100kHzのいずれかを選択することが可能です。低い周波数を選択することでICから発するノイズをさらに低減させることができます。
さらに、温度による磁気コアの特性変化を補正する機能(※5)を搭載しており、広い温度範囲でのコア有電流センサ(※6)の高精度化が可能です。
これらの特長により、電力消費を抑えつつCO2排出量削減にも貢献し、環境にも配慮したエネルギー効率の高い高精度なインバータやDCDCコンバータに搭載される電流センサを構成するのに最適なICです。
【主な特長】
- 業界最速クラスの高速応答(※2)
汎用インバータのエネルギーの変換効率をより高めるためには、コア有電流センサの検出遅延時間を低減させることが効果的です。「S-5611A」は、業界最速クラスの高速応答1.25μsにより、エネルギー変換効率向上に大きく貢献します。
- 業界トップクラスの低ノイズ性能(※3)
コア有電流センサの精度は、出力オフセット電圧や磁気感度の設定精度により決まりますが、実使用条件では、それに加えて出力ノイズの性能も電流センサの精度を左右する重要なパラメータの一つです。「S-5611A」は、業界トップクラスのノイズ性能0.09μT/√Hz typ.であるため、制御性が高まりインバータ等の機器の高精度化に貢献します。
-
周波数帯域選択機能(※4)により、更なる低ノイズ化が可能
コア有電流センサにおいて、検出遅延時間と出力ノイズの性能はトレードオフの関係にあります。その性能はリニアホールICの周波数帯域の仕様に関係し、周波数帯域を小さくすることで出力ノイズを小さくすることが可能です。「S-5611A」は、使用用途により周波数帯域を400kHz、200kHz、100kHzからプログラムで選択することが可能です。 -
磁気コアの温度ドリフト補正機能(※5)により広い温度範囲での高精度化が可能
コア有電流センサでは、温度による磁気コアの特性変化を補正することで温度に依存しない高精度な検出を実現することができます。「S-5611A」には、磁気コアの特性変化を補正する機能(※5)が内蔵されています。電流センサの出力をマイコンで演算処理することによって補正する方法もありますが、より手軽に広い温度範囲での電流センサの高精度化が可能です。
【主な仕様】
・出力形式 |
---|
磁束密度に比例したアナログ電圧出力 |
・ノンレシオメトリック動作 |
電源電圧に依存せず印可された磁束密度のみに比例したアナログ電圧出力 |
・入力磁束密度換算ノイズ電圧密度 |
0.09μT/√Hz typ. |
・出力ノイズ電圧 |
1.89mVrms typ. (出力帯域 400kHz時、磁気感度 30V/T時) |
・出力応答時間 |
1.25μs typ. 2.5 μs max. (周波数帯域 400kHz時) |
・不揮発性メモリ内蔵 |
2ワイヤシリアルインターフェイスにてICの機能切り換えやトリミング調整が可能 |
・機能切り換え |
|
・トリミング調整 |
|
(※1) 汎用インバータ:産業用モータに供給する電圧や周波数を自在に制御しモータを効率的に動かす回路
(※2) 業界最速クラスの高速応答:プログラマブルリニアホールICとして。周波数帯域400kHz条件での値
2024年11月 当社調べ
(※3) 業界トップクラスの低ノイズ性能:プログラマブルリニアホールICとして。周波数10kHz条件での値
2024年11月 当社調べ
(※4) 周波数帯域選択機能:周波数帯域を選択可能として、例えば100kHzを選択することでノイズを小さくすることができる機能
(※5) 温度による磁気コアの特性変化を補正する機能:磁気コアの温度ドリフトを補正するように磁気感度温度ドリフト設定範囲を-500ppm/℃から+500ppm/℃の範囲で設定できる機能
(※6) コア有電流センサ:導体に流れる電流により磁気コアに発生する磁束密度を測定することで電流の大きさを検出するセンサ
【用途例】
・コア有電流センサ
・リニア位置検出
・回転検出
【製品詳細】
https://www.ablic.com/jp/semicon/products/sensor/linear-hall-effect-sensor-ic/s-5611a/
【Webサイト】
本製品は、環境貢献に優れた製品としてミネベアミツミグループの「グリーンプロダクツ」に認定された製品です。詳しくはこちらをご覧ください。
この件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。
【報道関係のお問い合わせ】
エイブリック株式会社
コーポレート コミュニケーションユニット
e-mail : pr@ablic.com
【一般のお問い合わせ】
エイブリック株式会社 販売代理店
https://www.ablic.com/jp/semicon/sales/distributors/