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IoT時代──モノの動作の検知にお困りではありませんか?
~ その問題解決にホールICが最適なワケ ~
IoT時代に突入した今、モノの位置や状態を正確に検知することの重要性がますます高まっています。ここで問題になるのは、そのための仕組みをどのような技術によって実装するかです。例えば、スマートホームでは、窓や扉の開閉状態を電子的に検知することが必要です。その仕組みは、超小型で消費電力が小さく、長年使い続けても壊れないものであることが不可欠です。 ならば、そうした要件を満たす仕組みは、どんな技術で作ればよいのでしょうか──。結論から言えば、それは、ホールICの活用にほかなりません。ではなぜそう言い切れるのか。以下にそのワケをご説明します。
物理スイッチや光センサーの限界
住宅の窓や扉といった、モノの動きを検知し、電気的な信号へと変化させる──。そのための技術として、まず思いつくのが物理的なスイッチでしょう。
ただ、物理スイッチの場合、例えば、窓や扉の開閉部の動作を、スイッチを「押す」、または「スライドさせる」といった動作に変換しなければならず、構造が複雑化します。また、動作部にホコリが堆積したり、液体が侵入したりすることで故障が発生し、長年安定して使い続けられるとは限りません。
ならば、発光ダイオードと光センサーを組み合わせた「非接触スイッチ」は、どうでしょうか。この仕組みであれば、物理的な構造がシンプルになり、設計も楽になります。ただし、環境光や汚れなどによって光センサーの感度が低下するおそれがあるほか、消費電力を小さくするのも困難になります。
「ホールIC」という選択肢
上述したような問題を一挙に解決できる技術が、「ホールIC」です。 ホールICとは、半導体センサーによって磁気の強さを電気信号に変換するICのことです。磁気検知の方式として、「片極検知型」「両極検知型」「交番検知型」の3タイプがあり、それぞれの方式を採用したホールICには、次のような特徴があります。
①片極検知型/両極検知型
片極検知型/両極検知型のホールICは、磁石の接近を検知して信号を出し、磁石が離れたときに元の状態に戻るスイッチタイプのICです。片極検知型は、N極とS極のどちらか一方に反応し、両極検知型はN極とS極のどちらにも反応します。
このタイプのホールICは、磁石との併用により、非接触スイッチとして用いることができます。そのため、折り畳み式ケータイやノートPCの開閉を検知する仕組みとして広く利用されてきました。
例えば、ケータイの液晶画面側に小さな磁石を、キーパッド側にホールICをそれぞれ組み込んでおき、ユーザーが画面を閉じた際に、ホールICが磁石の接近を検知して信号を出し、スリープモードに自動で切り替える、といった具合です。
②交番検知型
交番検知型のホールICは、N極とS極の入れ替わりを交互に検知するICです。 例えば、円盤状の磁石を回転させ、その近くに交番検知型のホールICを設置します。これにより、円盤状の磁石の回転数を計測することが可能になります。 このタイプのホールICは、モータやファンの回転制御などに応用されています。
多彩なホールICで
エンジニアの「こうしたい」をかたちに
以上のように、ホールICの考え方はとてもシンプルで、応用の範囲も幅広く、求められる機能もさまざまです。
そのため、エイブリックでは、多彩なホールICを提供し、エンジニアのニーズに応えてきました。そして今日では、「低電圧型」「高耐圧型」「高速動作型」「高温動作型」など、IoTデバイスへの応用を想定したホールICの拡充に力を注いでいます。
また、エイブリックのホールICは、共通して「小型」「低消費電流」「高精度」「高品質」という特徴も備えています。消費電力に関しては業界最小クラスを実現しているほか、パッケージの実装密度についても業界最高水準にあり、外観検査が容易なノンリードタイプの「SNT-4A」(4端子、1.6×1.2×0.5mm)を中心に、汎用性の高い「SOT-23-3」「SOT-23-3S」を用意しています。
IoTデバイスは、省電力性や耐久性、省スペース性が強く求められる場合が多くあります。エイブリックのホールICは、そうしたIoTデバイスでの活用に適したホールICと言えるのです。
さらに、もう一つ、エイブリックでは、ホールICの技術サポートとして、高精度磁気シミュレーションサービスをはじめ、様々な支援サービスを提供しています。そのシミュレーションサービスをお使いいただくことで、磁気や磁石、ホールICの扱いに不慣れな方でも、ホールICを使った精度の高い磁気設計ができます。
アイデア次第で広がるホールICのアプリケーション
IoT時代を迎えた今、スマートホームのみならず、家電やおもちゃなどにも、さまざまなセンサーデバイスが組み込まれ、多彩なアプリケーション/サービスが開発されようとしています。そうしたセンサーデバイスの一つとして、物理的なモノの動きを検知するホールICはとても便利で、アイデア次第でその応用の幅は大きく広がります。
単純な例で言えば、家の扉や窓の開閉をホールICで検知し、クラウドサービスやスマートフォンと連携させれば、ホームセキュリティの遠隔監視サービスが作れます。また、ホールICによる冷蔵庫の開閉検知は、高齢者の見守りサービスや節電アドバイスサービスに活かせるはずです。さらに、スマートフォンから、おもちゃのモータを遠隔制御する仕組みも容易に作れるはずです。
そうしたホールICの可能性をさらに押し広げるために、エイブリックでは、新たなホールIC「S-5718」を開発し、提供を開始しました。次回のコラムでは、その革新的な機能と、応用の可能性について説明します。
- S-5718シリーズ
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コラム
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- Vol.2 自己消費電流260nAを達成 ── IoT/ウェアラブル向け 超高効率スイッチングレギュレータ「S-85S1Aシリーズ」のインパクト (2017.6.8)
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- Vol.4 IoT時代──モノの動作の検知にお困りではありませんか?
~ その問題解決にホールICが最適なワケ ~ (2017.12.04) - Vol.5 ホールICのイノベーションがIoTデバイスにもたらす変革 ── 1つで3つの状態の識別を可能にした「S-5718」のインパクトとは? (2017.12.19)