コラム Vol.1 ご存じですか!? ウェアラブルデバイスのバッテリ駆動時間を劇的に伸ばす秘策(2)

問題の在り処

ウェアラブル用小型Liイオン電池

ウェアラブルデバイスにおけるバッテリ駆動時間の短さは、電池の消費量と電池の大きさが釣り合っていないことに原因があります。要するに、ウェアラブルデバイスに搭載可能な電池の容積が非常に小さいことが、「バッテリの持ちが悪い」といった問題を生じさせてきたわけです。
もちろん電池の改良も進められ、容積当たりの容量は、徐々にではあるものの、増加傾向にあります。また市場では、より小さなデバイスに、より大きな電池を搭載するための設計上のノウハウも蓄積されつつあり、加えて、プロセッサや表示モジュール・無線モジュールといった搭載部品についても、それぞれ省電力化が進展しつつあります。とはいえ、こうした技術的な進化も、ウェアラブルデバイスのバッテリ駆動時間を劇的に改善する域には達していません。ゆえに、ウェアラブルデバイスの設計・開発に携わるエンジニアは、厳しい制約の下での作業を強いられているのです。

エイブリックからの提案

 では、ウェアラブルデバイスのバッテリ駆動時間を飛躍的に伸ばすのには何が必要とされるのでしょうか──。エイブリックが提案するのは、電源ICの抜本的な見直しです。
ウェアラブルデバイスを含め、多くの端末は電源電圧から電圧を下げる降圧型電源を用いており、その代表例としては、スイッチングレギュレータやシリーズレギュレータ が挙げられます。
このうちスイッチングレギュレータは、入力から出力への電力変換効率が90%前後であるため、省電力性を重視するデバイスでは広く用いられています。ところが、スイッチングレギュレータは、ウェアラブルデバイスのように出力電流が1mA以下となる軽負荷時において、効率性が悪いという問題を抱えてきました。にもかかわらず、ウェアラブルデバイスが求める軽負荷領域では高効率の電源ICがほとんど存在せず、それがウェアラブルデバイスのバッテリ駆動時間に厳しい制限をかけてきたわけです。
S-85S1A / S-85S1P シリーズそこでエイブリックでは、スイッチングレギュレータの軽負荷時における効率改善に長く取り組んできました。その結果完成させたのが「S-85S1」シリーズの最初の製品となる「S-85S1A」と「S-85S1P」です。これら新開発のスイッチングレギュレータを採用するだけで、ウェアラブルデバイスの設計・開発に取り組むエンジニアは一般的なシリーズレギュレータ採用時に比べ、デバイスのバッテリ駆動時間を最大2.5倍に伸ばすことが可能となります。

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