1. 電流センサの種類、特徴
私たちの身の回りでは、省エネルギー化への貢献、安心かつ安全な暮らしを守るために様々な方法で電流を測定、監視をしています。
一般的に電流センサは下図のように分類されます。
ここでは各電流センサの種類と特徴をご紹介します。
2. シャント抵抗式電流センサ
シャント抵抗式電流センサは、電流経路に挿入したシャント抵抗の両端に発生する電圧をアンプ(信号増幅回路)で増幅することにより、電流を測定する電流センサです。
低コストで電流を高精度に検出することができるため、広く一般的に使われています。シャント抵抗に数10A程度の電流を流すことにより発生する電力損失が問題になりますが、できるだけ小さい抵抗値のシャント抵抗と高精度なアンプを組合せることにより問題は改善されます。
また、後述の磁気式電流センサに対して高精度な性能を実現できると共に、外乱磁場の影響を受けないメリットがあります。 エイブリックのアンプは本方式に使用することができます。
3. 磁気式電流センサ
磁気式電流センサとは、電流が流れることによって発生する磁場を測定することにより、電流を測定する非接触の電流センサです。磁場を測定する為に、ホール素子などの磁気センサが用いられます。
磁気式電流センサには、磁気コアを使用するものとしないものがあります。
コア有電流センサ
コア有電流センサは、磁気コアを使用した磁気式電流センサです。
磁気センサICは磁気コアのギャップに挿入され、磁気コアを介して電流線の周囲に発生した磁場を測定します。
この方式は電流線の抵抗値を小さくできるため、電力損失を少なくすることができます。しかし、磁気コアを必要とするためコストが高くなります。また、実装面積が大きくなります。
コアレス電流センサ
コアレス電流センサは、磁気コアを使用せずコアレス電流センサICのみで構成される磁気式電流センサです。
コアレス電流センサICは、IC内部に引き込んだ電流によって発生する磁場を直接測定します。
この方式は磁気コアを使用しないため、実装面積を小さくすることができます。しかし、IC内部に引き込む電流経路の抵抗値が大きくなるため、電力損失が発生します。また、外乱磁場の影響を受けやすく、使用環境によってはシールドなどの工夫が必要となります。
4. 各電流センサ比較
用途により最適な電流センサは異なります。
シャント抵抗式電流センサ | コア有電流センサ | コアレス電流センサ | |
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電流検出範囲 | 小電流検出向け | 大電流検出向け | 小中電流検出向け |
検出精度 | 〇 (微小電流を高精度に検知可能) | △ (磁場が大きいと誤差要因になる) | × (高精度化が困難) |
電力損失・発熱 | × (測定電流が大きいと発熱) | 〇 (他方式と比較し、発熱が小さい) | × (測定電流が大きいと発熱) |
外乱磁場耐性 | 〇 (外乱磁場に強い) | × (外乱磁場に弱く、対策が必要) | × (外乱磁場に弱く、対策が必要) |
実装性 | △ (実装しやすいが基幹部品が2つ) | × (コアが大きく設置場所に制約あり) | 〇 (実装しやすく、基幹部品1つ) |