入力オフセット電圧は、周囲温度や同相入力電圧により変化します。また時間経過によっても変化します。
ゼロドリフトアンプとゼロドリフトではない一般的な高精度オペアンプは、その入力オフセット電圧の補正方法の違いにより出力電圧特性に差が表れます。
以下にゲイン=225倍で構成した増幅回路での比較結果を示します。
1. 温度依存性
下記グラフは、VDD=5V、IDET=0A時の出力電圧誤差(REF電圧からのズレ)の温度特性です。
一般的な高精度オペアンプは、入力オフセット電圧をトリミング補正している25℃条件では出力電圧誤差が小さく抑えられていますが、温度変化により入力オフセット電圧が変化すると出力電圧誤差が大きくなっていきます。
一方、ゼロドリフトアンプは入力オフセット電圧を自動補正しているため、温度変化により入力オフセット電圧が変化しても、入力オフセット電圧を常に限りなく最小に補正することができ、出力電圧誤差を小さく抑えることができます。
2. 同相入力電圧依存性
下記グラフは、VDD=4.5~5.5V、IDET=0A時の出力電圧誤差(REF電圧からのズレ)の同相入力電圧依存性です。
オペアンプの入力電圧は固定されていますが、VDDを変化させることにより、オペアンプのVDDから見た同相入力電圧が変化しています。
一般的な高精度オペアンプは、入力オフセット電圧をトリミング補正している同相入力電圧条件では出力電圧誤差が小さく抑えられていますが、同相入力電圧の変化により入力オフセット電圧が変化すると出力電圧誤差が大きくなっていきます。
一方、ゼロドリフトアンプは入力オフセット電圧を自動補正しているため、同相入力電圧の変化により入力オフセット電圧が変化しても、入力オフセット電圧を常に限りなく最小に補正することができ、出力電圧誤差を小さく抑えることができます。
以上のように、ゼロドリフトアンプは周囲温度の変化や同相入力電圧が変化した場合でもその変化に影響を受けることなく、入力オフセット電圧を常に限りなく最小に補正することができるため、出力電圧誤差を小さく抑えることができます。
時間経過により入力オフセット電圧が変化する場合も出力電圧誤差を小さく抑えることができます。