1. BLDCモータとは?
BLDCモータ (ブラシレスDCモータ)は、高効率、長寿命、高トルクを実現したモータです。
低騒音をはじめとした低ノイズ特性、高効率の実現による省電力化により家電製品や産業機器、自動車搭載機器などに幅広く使用されています。
BLDCモータには大きく分けて2つの構造があります。小型のファンモータなどで多く使われている単相BLDCモータと、エアコンや電動工具などで多く使われている3相BLDCモータです。
ここでは現在主流となっている3相BLDCモータの構造と駆動方式についてご紹介します。
2. 3相BLDCモータ
3相BLDCモータは回転する永久磁石を含んだロータと、ロータを回転させるための磁力をつくりだすコイルを含んだステータによって構成されています。
ステータが外側で固定されていてロータが内側で回転する構造のものをインナーロータ型BLDCモータ、ステータが内側で固定されていてロータが外側で回転する構造のものをアウターロータ型BLDCモータと呼びます。
インナーロータ型BLDCモータは、小型のモータを構成することができ、慣性モーメントを小さくすることができるため制御性が高い特徴があります。
一方のアウターロータ型BLDCモータは、磁石の大きさの自由度が高くコイルの構造が従来のDCブラシ付きモータと似ているため、製造しやすい特徴があります。
3. 位置センサ (ホール素子、ホールIC) の役割
BLDCモータで使用される位置センサは、大きく分けて2種類があります。
ロータの絶対角度を検出するセンサと、ロータの回転位置を検出するセンサの2種類です。
前者としては、エンコーダやレゾルバといった絶対角センサが使用され、後者はホールセンサとも呼ばれるホール素子やホールICといった回転位置センサが使用されます。
BLDCモータで使用されるホール素子、ホールICはロータの回転位置を検出するための位置センサとして使用されています。
BLDCモータはロータの回転位置を検出してステータのコイルに流す電流を切り換えているので、ステータの位置とホール素子、ホールICの位置関係は重要です。
そのため、センサを搭載する基板の作成には様々なノウハウがあります。
ホール素子
ホール素子は受ける磁束密度に応じた電位差を出力します。
回転位置に応じたアナログ電圧が得られるため、MCUやコントローラが任意のしきい値の設定や、電圧に応じたアナログ制御が可能です。
一方でMCUやコントローラはホール素子からのアナログ電圧を受け取る必要があるので、高速なADコンバータやアンプ、コンパレータなどが必要です。一般的に使用されているMCUやコントローラはBLDCモータ制御に専用設計されたものであるため、最適化されたコンパレータ回路を搭載しています。
またホール素子から出力される信号はインピーダンスが高くステータコイルやモータ周辺で発生する電磁ノイズの影響を受けやすいため、誤動作を防止するために充分なノイズ対策をする必要があります。
ホールIC
ホールICはホール素子とアンプなどの信号処理回路を一体化したもので、BLDCモータで使われる交番検知ホールICやZCLホールICはインピーダンスの低い論理信号を出力します。ノイズの多いモータ環境ではホールICが広く使われています。
MCUやコントローラはホールICのデジタル信号が入力されるため、ADコンバータやアンプ、コンパレータが不要となり、シンプルな機能の低価格のもので構成することが可能となります。
ホール素子やホールICの技術的な内容については 「ホールICとは?」 をぜひご覧ください。
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