1. モータを比べる ~種類、特徴、構造、制御方法~
私たちは現在、多くのモータに囲まれて生活しています。
ここではマイコンやコントローラICで制御が容易なDCモータ (直流電源を動力源とするモータ) を中心にご紹介します。
2. DCブラシ付きモータ
古くよりDCモータとも呼ばれていたモータですが、後述するBLDCモータ (ブラシレスDCモータ) との区別が必要なため、DCブラシ付きモータと呼んでいます。
ケースに固定されたS極とN極一対の磁石のステータとその中をコイルとそのコイルに接続された整流子が固定されたブラシより電流が供給されて回転しています。
構造が比較的単純で駆動や制御も容易なため、今なお多くの場所で活用されています。
DCブラシ付きモータは、モータに印加する電圧を変化させることで回転速度や回転方向を制御します。
回転中は電流経路であるブラシと整流子が接触と非接触を繰り返すため、電気的なノイズや機械的なノイズが発生します。また、ブラシの摩耗に伴う定期的なメンテナンスが必要となります。
3. ステッピングモータ
ステッピングモータはステータのコイルにパルス信号を入力することで、永久磁石や軟磁性体で構成されたロータがステップ角ごとに回転するモータです。
ロータが永久磁石のものはPM型 (Permanent Magnet型) と呼ばれ、高トルクで無電力での角度保持が可能です。
ロータが軟磁性体のものはSR型 (Switched Reluctance型) と呼ばれ、PM型と比較すると安価ですが効率はあまり高くありません。
SR型モータはステータの対抗するコイルに電流を流し、ロータの磁極を引きつけることでステータのステップごとにロータが回転します。
各ステータのコイルごとに駆動回路が必要になるため、駆動回路全体が大がかりになることや、ステップごとに駆動するため機械的なノイズが発生しやすいことがデメリットになります。
4. BLDCモータ
BLDCモータ (ブラシレスDCモータ) は永久磁石が配置されたロータと、それを回転させるための磁界をつくりだすコイルが配置されたステータで構成されています。
DCブラシ付きモータのステータとロータの構造を入れ替え、弱点の原因であるブラシと整流子を制御回路で電気的に置き換えた構造です。
これにより長寿命と低ノイズを実現し、効率の良いモータを実現しています。
ロータを正しく回転させるためには、ステータのコイルに流す電流を制御する必要があります。BLDCモータのコントローラは、位置センサを用いてロータの回転位置を検出し、コイルに流す電流を制御しています。
詳しくは 「BLDCモータとは?」 をご参照ください。
5. 各モータの比較
これらDCモータの特徴をまとめると以下のようになります。
用途により最適なモータは異なります。
例えば、色々な角度で頻度高く停止する必要がある用途であれば、ステッピングモータが適しています。電力効率が求められ連続して回転する用途であれば、BLDCモータが適しています。動かす頻度が低くコスト低減が求められる用途であれば、DCブラシ付きモータが適しています。
DCブラシ付きモータ | ステッピングモータ | BLDCモータ (ブラシレスDCモータ) |
|
---|---|---|---|
寿命 | × | ◎ | ◎ |
電磁ノイズ | × | 〇 | ◎ |
振動 | 〇 | △ | ◎ |
静止精度 | × | ◎ | △ |
最大回転数 | △ | 〇 | ◎ |
電力効率 | △ | × | ◎ |
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